初心者の頃に買ったばかりの弦高は高めに設定されているということを知っていれば、演劇部でトラウマを植え付けられる必要はなかったのではないかと、そう思う今日この頃です。(いや、それはないか・・・)
今回は、買ったばかりのアコギの弦高が高くて弾きにくいよ~って人向けに、ブリッジ部分のサドルを削って弦高を低くする手順を紹介します。
基本的に新品でアコギを買った場合、サドルが高めに設定されています。
これはサドルが低すぎる(弦とフレットの間隔が狭すぎる状態)と、音がビビッてしまって綺麗に音が鳴らせない状態になってしまい、新しくサドルを交換するしか解決策がないためだと思われます。
それならばいっそ少し高めに設定しておいた、高すぎたら購入者なり楽器店なりで削ってもらった方がコスト的にリスクが低くなるからと考えられます。
私が買った YAMAHA の FG830 と JR2 もどっちも 6弦側の弦高が 4mm もあって、さすがに弦を押さえずらいので、サドルを削りました。今回は JR2 のサドルを削った時の写真を使用してサドルを削る手順を解説していきます。
目次
弦高調整(サドル削り)に必要なアイテム
これから弦高調整をするためにサドルを削る前提で作業していきますが、必要な道具がありますので、以下のリストを確認してください。
アコギに付いているサドルを削るのに抵抗がある場合
実際、私もメインで使っている YAMAHA FG830 を新品で購入してサドルを削るとき、削りすぎたりしてミスった時に取り返しがつかなくなることが怖かったです。
なので、Amazon で評判の良さそうな牛骨サドルを購入してそのサドルを削りました。今のアコギに最初からついてきたサドルは手を加えずにとっておきたいって場合は、サドルを単品で購入しましょう。
サドルを削る前に絶対に確認すべきこと
さて、さっそくサドルを削りたいですが、その前に1つだけ確認しておくことがあります。
それはネックが反っていないか?
弦とネックの幅が広すぎることを弦高が高いと言いますが、その弦高が高すぎる原因として、サドルではなく、ネック反りの可能性もあります。
では、ネックの反りを確認する手順は以下の通りです。
まず、1フレットにカポタストを取り付け、12フレットを指で押さえます。
この状態で、1フレットから12フレットの間の弦とフレットに隙間があるかを確認します。弦とフレットの間にはがき1枚分ほどの隙間があるようであれば許容範囲です。それよりも隙間があるようであれば、順反りしています。この場合はサドルを削らずにトラストロッドの調整をしてネックの反りを直します。
ネックが反っておらず、弦高が高すぎるようであれば次の手順に進んでサドルを削ります。
サドルを削りの手順
サドル削りの手順ですが、大まかに流れを説明しておくと以下の流れになります。
・弦高を測定する
・サドルを取り外す
・どれだけサドルを削るか決める
・サドルを削る
・サドルを取り付ける
こんな感じです。
細かく説明していきましょう。
弦高を測定する
スケールを使って6弦側の弦高と、1弦側の弦高を測定します。
12フレットのフレットにスケールを押し当てて、6弦側と1弦側のそれぞれ弦との幅が何mmあるかを測ります。
私の場合、6弦側は 4mm、1弦側は 2.5mmでした。
弦の理想の高さは個人差がありますが、一般的に弾きやすいと言われているのが、6弦側が2.5mm、1弦側が2.0mmと言われています。
ジャカジャカストロークして弾き語りする人は上記よりも少し高く設定したり、指弾きでソロギターをする人は少し低めの設定を好むようです。
ちなみに私は、ジャカジャカコードストロークしたり、指弾きもしますが、愛用している YAMAHA FG830 を 6弦側が 2.5mm、1弦側が 2.0mmに設定しています。
なので、今回サドルを削る YAMAHA JR2 も 6弦側を 2.5mm、1弦側を 2.0mmに設定します。
サドルを取り外す
では、サドルを取り外します。
後で取り外したサドルを元に戻す時に手間なので、弦を巻きなおさないでいいように次の手順でサドルを取り外します。
まずペグを回して弦を緩めます。そして緩めた弦のたるみをボディー側にためて、カポタストをネックに取り付けます。こうすることでブリッジピンを外しても弦がバラバラにならず、あとからサドルを元に戻すときに弦を巻きなおす必要がなくなります。
上の写真のように弦を緩めてカポタストを取り付けたら、ブリッジピンを6つとも抜いてあげます。
ブリッジピンを 6つすべて抜いたら、こんな風にサドルをブリッジを引っこ抜きます。
※YAMAHA JR2 も FG830 もサドルとサドルのはまっていた溝に余裕があり、簡単に引き抜けました。他の型番や他メーカーのアコギだと溝に余裕がなく、ぴったりくっついているものもあるようなので、その場合はベンチに布を巻きつけて(サドルとブリッジの傷防止のため)サドルを引っこ抜きます
どれだけサドルを削るか決める
無事、サドルを引き抜くことが出来たら、サドルをどれだけ削るかを決めます。
さきほど弦高を測った時に、私の場合だと 6弦側が 4mm、1弦側が 2.5mm ありました。これを一般的な理想値である 6弦側 2.5mm、1弦側 2.0mmにしようと思います。
以下の表に削る前、削った後、どれだけ削るかを書き出しました。
削る前 | 削った後 | 差分 | どれだけ削るか | |
6弦側 | 4.0mm | 2.5mm | 1.5mm | 3.0mm |
1弦側 | 2.5mm | 2.0mm | 0.5mm | 1.0mm |
上記の表でどれだけサドルを削るかを赤字で書いていますが、この数値をどうやって出しているかなんとなくわかっていただけるでしょうか。
6弦側 4.0mm を 2.5mm に調整する場合、差分が 1.5mmあるわけですが、削るのはその 2倍の 3.0mmになります。(ここすごく重要)
1弦側も同じ計算でどれだけ削るかを 差分の 0.5mmを 2倍して1.0mmとしています。
どれだけ削ればいいかわかったら、油性ペンでサドルに目印を付けます。まずは 6弦側のサドルを端っこから。
6弦側に目印を付けたら、同じ要領で 1弦側にも目印を付けます。そしてスケールを使って 6弦側と1弦側を線で結んだあと、こんな風に削る部分を塗りつぶします。
これで削る前の準備が完了しました。
サドルを削る
いよいよサドルを削る作業です。
紙やすりを用意して削っていくのですが、まず 6弦側と 1弦側の隅っこを先に削ってしまいます。以下の写真のような感じですね。
先にここを削っておくと、紙やすりと密着する面積が少し減るので若干削りやすくなります。
両端をある程度削ったら、あとはひたすら油性ペンで黒く塗りつぶした部分がすべて削り落とします。(牛骨のような硬いサドルだと結構時間がかかりますが、根気よくやりましょう)
サドルの底の部分が斜めにならないよう、真上から時折確認しながら出来るだけ垂直に削るよう心がけます。
はい、綺麗に黒い部分を削り落とせました。サドルは削りすぎると後戻りできないので、少しだけなら黒い部分が残っていても(バッファがあっても)問題ありません。
これで一番しんどい作業が終わりました。
サドルを取り付ける
先ほどのサドルを取り外した時の手順を逆からやっていきます。
削り終わったサドルをブリッジの溝にはめ込んで、外した弦を取り付け、ブリッジピンをはめ込んでいきます。
サドルを取り外す前の元の状態に戻せたら、チューニングをして、サドルが計算通りに削れているかを確認します。
先ほどと同じく 12フレットのフレットにスケールを垂直に当てて、弦高を測ります。私の場合は、計算通り、6弦側が 2.5mm、1弦側が 2.0mmになっていました。
うむ!
弾きやすくなりました
お疲れさまでした!
アコギのサドル削りはちょっと手間がかかりますが、もしも弾いてて弾きにくくて、それが弦高の高さからくるものであれば、調整してあげた方が絶対に良いです。
私はサドルを自分で削れるんだってことを最近知りました。
サドルを削ったことで劇的に新品で買った YAMAHA FG830 が弾きやすくなったので、布教するためにこの記事を書いてみました。
さあ、今日もギター弾こうぜ!